
嵐の演奏会

もうとっくに春一番が吹き荒れ、長い冬に別れを告げ、新しい季節を心の底から楽しんでいる。お花見のシーズンでもあるし、新学期、新生活。ニューフェイスが続々と新たなる風を吹き込む。
3月20日は、いつもならばそんな穏やかな日になるはずだったが、あいにくこの日は朝からの長雨。しかも三連休の初日というだけあって、各幹線道路は軒並み大渋滞。ナビゲーションの画面にも赤の矢印が目立つ。
この日、千葉を本拠地として活動を続けるWind Factoryの第4回定期演奏会。気心の知れた仲間がなんとなく始めたこの音楽活動も、4回目の演奏会を迎えることになった。ようやく軌道に乗ってきたようだ。会場である千葉市民会館大ホールで、リハーサルが始まる。
参加メンバーのほとんどは吹奏楽を学生時代に経験、または経験中ということで、演奏会の1日の流れは分かってはいる。夕刻から開演ならば午前、午後とリハーサルをするわけだが、乗り降り、起立のタイミング、セッティングの確認にとどまり、楽器はウォーミングアップ程度。
しかし、この日は違った。
まるで外の寒さを吹き飛ばすかのように、リハーサルは熱気に満ち満ちていた。もちろんお客さんは誰もいない。何のためにそこまで飛ばすの?そしてその勢いに乗じたまま、開場。そして開演。
コンクールに出たことのある方は経験があるだろう。演奏直前に舞台裏で聴く、前の団体の『とても上手に聞こえる演奏』というものを。今回、なぜかそういう演奏を
耳にした。しかし、なんか違う。金管!!飛ばし過ぎだっ!オープニングの曲だというのに、皆容赦しない!日頃の憂さ晴らしか、はたまたヤケクソか。どちらにしても「音楽を心から楽しんでいるぞ」という音だ。
途中、Euphoniumの某氏が小節数を間違えたために、曲が短く終わってしまうハプニング。そのフォローが見事だった。編曲ならぬ、変曲とはこのことか。当然某氏は打ち上げの席で大変なことになるわけだが・・・
まだあった。あんなに入念に音響のチェックをしていたにもかかわらず、大事な部分でキーボードの音が出ない!指揮者も焦って何度もキーボード奏者の方を見ている。悲しくなればなるほど、音の闇は続く・・・。舞台にいるプレイヤたちも内心パニックになっていたに違いない。
しかし、キーボードの音はなくとも、そのまま曲は続いた。音の闇はクライマックスを迎えたところで突如としてあらわれ、聴く者も張り詰めた空気に息を飲んだ。そして、次の瞬間には、安らかなハーモニーが会場を舞う。期せずしてそんな曲に変曲された。
もっと練習しておけば、上手下手の尺度ではもっと上を狙えただろう。しかし私たちには時間がない。あるのは音楽を楽しみ、そしてその時間を共有する機会をつくる熱情だけ。数値や理論では分からない、右脳に直接問い掛ける演奏に、皆さんは触れたことがあっただろうか・・・。
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